2015
2015.10
共同住宅広場のベンチ制作
FRP製のベンチです。
2種類のベンチを計6台制作しました。
マンションの半屋外広場に置かれています。
座面高さは約50pです。
大きさは横180p奥行80です。
彫り込んだテクスチュアをもったベンチです。
設計
お客様からいただいた2Dの図面より3DCG図面を作成ます。各面に微妙な角度がついているため、立体として矛盾が無いか検証します。また原型に使用する木の板の寸法、角度、切り方を計算します。
3Dで検証すると多少の矛盾が生じていましたが、強制的に修正すると造形のイメージが変わる可能性があったため、ノミの彫り方で調整できると判断しました。
原型です。
木の板を組み合わせ、ノミで彫って制作しています。ちなみに原型制作場所は品川南大井スタジオです。FRP工程から瑞穂スタジオで制作しました。
綺麗に彫るため、ノミはハンマーを使わず、全て手押しです。さらに表面を滑らかにするため、特殊なポリッシャ―(やすりで磨く器具)を制作しました。、
FRP型です。木製の原型から雌型をFRPで制作します。この雌型から製品を量産します。
昨今、国内ではFRPの材料となるグラスファイバーが品薄になっており、量を確保するのが大変でした。
数種類の国内外製の材料を調達し、吟味し、適所適材に使用し、製品の品質を保つことが出きました。
制作途中。
しっかりとした強度を持たせるために、鉄骨、木材で補強します。またベンチがきちんと地面に設置できるようステンレス製のアジャスターを取り付けます。
カビ、鉄骨の錆び防止のため内側を塗装します。
塗装工程に入ります。
塗料はラッカー塗料です。スプレーガンで梨地チラシ吹きし、数種類の色を重ねると石風の色合いになります。
今回ベンチは半屋外ですので、表面コーティングはウレタン塗装ではなく、今年新しく導入したUVコーティングです。材料のUV樹脂を専用の触媒で希釈し、スプレーガンで吹きつけ、即座に強烈な紫外線を照射して硬化させる技術です。およそ1分で樹脂は硬化します。ウレタン塗装よりも耐候性があり、表面が非常に強固です。ウレタン塗装は少なくとも2日間は硬化・乾燥時間が必要で、ホコリが付着しないよう管理も大切ですが、UV樹脂は必要ありません。
材料の樹脂はメチャ高価なのですが、作業性、耐候性の良さを考慮すれば職人さん、クライアント様双方にとって良い素材だと思います。
完成。